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人事労務コラム

給与計算

公開日:2026.04.27

最終更新日:2026.04.27

外国人を雇用する際の源泉所得税の仕組み:居住者・非居住者の判定と税率20.42%の注意点

外国人を雇用する際の源泉所得税の仕組み:居住者・非居住者の判定と税率20.42%の注意点

近年、日本国内で就労する外国人労働者が増加する中、給与計算の実務において「日本人従業員と同様の処理で問題ないか」と懸念を抱く企業担当者は少なくありません。

特に実務上誤りが生じやすいのが「源泉所得税」の取り扱いです。本コラムでは、判断の基準となる「1年ルールの原則」を中心に、実務上の注意点および適法な管理体制の重要性について解説します。

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1. 外国人従業員の給与計算で間違いやすい「源泉所得税」

外国人従業員の所得税計算で注意すべきは、日本人と同じ設定で処理を済ませてしまうことです。会社は「源泉徴収義務者」として、対象者が税務上の「居住者」か「非居住者」かを正確に判定し、適切な源泉徴収を行う義務を負います。判定を誤り、本来より低い税率で徴収していた場合、後の税務調査で源泉徴収漏れを指摘される可能性があります。

源泉徴収漏れによる主な影響は以下の通りです。

  • 本税の納付: 本来納めるべきであった税額の不足分
  • 不納付加算税: 納付漏れに対する附帯税(原則10%など)
  • 延滞税: 納期限からの日数に応じた利息相当分

帰国済みの外国人労働者から不足分を回収することは実務上困難な場合が多く、最終的に企業が負担を被るリスクがある点に留意が必要です。

2. 税務上の重要ポイント:「居住者」と「非居住者」の判定基準

居住者と非居住者の区分は、原則として「1年ルール」によって判定されます。

(1)「居住者」の定義

国内に「住所」を有し、または現在まで引き続いて「1年以上居所」を有する個人を指します。休暇や一時的な出張で日本を離れても、生活の本拠(住所)が日本にある限り、1年のカウントはリセットされません。

(2)「非居住者」の定義

居住者以外の個人を指します。入国直後で滞在期間が短い方や、当初から短期滞在を目的とする方が該当します。

(3)居住者と推定されるケース

「入国から1年が経過するまで居住者にならない」というわけではありません。継続して1年以上日本に居住することを通常必要とする職業に従事する場合(例:期間の定めのない雇用契約、または1年以上の雇用契約を結んでいる場合)は、入国(入社)の時点から「居住者」として推定されます。

したがって、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」など、長期就労を前提とした在留資格での雇用であれば、多くの場合入国直後から居住者として扱われます。一方、1年未満の短期雇用(ワーキングホリデーなど)の場合は、非居住者として取り扱う必要があります。

(4)租税条約の適用に関する注意

原則は上記の通りですが、日本と相手国との間で締結されている「租税条約」が国内法に優先して適用される場合があります。留学生や事業修習者への給与が免税となる特例が存在する国もあるため、二国間の条約内容の確認が必要です。この特例を受けるためには、所轄の税務署へ事前に「租税条約に関する届出書」を提出する必要があります。

(5)居住者のうち「非永住者」という区分

居住者と判定された外国人であっても、日本国籍を有しておらず、過去10年以内の国内居住期間が「5年以下」である場合は所得税法上「非永住者」と区分されます(入管法上の「永住者」とは異なります)。非永住者の場合、国外源泉所得については、日本国内で支払われたり海外から送金されたりしない限り、日本の所得税は課税されません。

3. 非居住者に対する源泉所得税「20.42%」の適用ルール

判定の結果「非居住者」に該当する場合、給与計算のルールが以下の通り異なります。

項目居住者の場合非居住者の場合
適用税率源泉徴収税額表(累進課税)一律 20.42%
扶養控除適用あり(扶養控除等申告書)適用なし
社会保険料の控除税計算前に控除する考慮しない(非課税となる通勤手当等を除いた支給額に課税)

非居住者の場合、課税対象額に対して一律20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が源泉徴収されるため、居住者と比較して手取り額が少なくなるケースが多くなります。採用時に税引後の給与目安について説明を行い、労使間の認識の齟齬を防ぐことが重要です。

4. 実務上留意すべき非居住者に関する3つのポイント

(1)「納期の特例」の適用について

小規模事業者の事務負担を軽減する「源泉所得税の納期の特例(年2回納付)」は、日本人従業員だけでなく、非居住者に対する給与や退職金についても適用されます。
しかし、ここで実務上非常にミスが起きやすいのが「納付書の用紙」です。特例対象であっても、居住者用の納付書(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)に合算して納付することはできません。必ず「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(通称:マル非の納付書)」という専用の用紙を使用し、納期の特例の時期にまとめて納付する必要があります。用紙を誤って合算処理してしまうと、後の税務調査等で指摘を受ける原因となるため、厳格な区分管理が求められます。

(2)帰国後の「退職金」に関する還付申告

外国人従業員が帰国する等、非居住者となった後に退職金が支払われる場合も、原則として一律20.42%が源泉徴収されます。ただし、本人が日本の税務署へ「退職所得の選択課税(所得税法第171条)」の申告を行うことで、居住者と同様の退職所得控除が適用され、納めすぎた税金の還付を受けられる制度があります。この手続きには日本国内の納税管理人の選任が必要です。

(3)支払先が海外口座の場合の納付期限について

非居住者に対して国内源泉所得を「国外」で支払う場合(海外口座への送金など)、支払者が国内に事務所等を有していれば、源泉徴収した所得税の納期限は原則の「翌月10日」ではなく、「支払った月の翌月末日」となります。

5. 適法な管理体制の構築と在留資格への影響

外国人の給与計算においては、税務上の居住性判定に加え、社会保険の適正な加入手続きなど多角的な対応が求められます。

留意すべき点は、税金や社会保険料の未納が、外国人材の「在留資格」に重大な影響を及ぼすということです。源泉所得税の納付漏れや社会保険の未加入が発覚した場合、就労ビザの更新審査において不利益な評価を受ける可能性があります。

複雑な外国人雇用の管理体制に課題を感じられた際は、専門家へご相談されることをお勧めいたします。

この記事の監修者

社会保険労務士法人第一綜合事務所
社会保険労務士 菅澤 賛

  • 全国社会保険労務士会連合会(登録番号13250145)
  • 東京都社会保険労務士会(登録番号1332119)

東京オフィス所属。これまで800社以上の中小企業に対し、業種・規模を問わず労務相談や助成金相談の実績がある。就業規則、賃金設計、固定残業制度の導入支援など幅広く支援し、企業の実務に即したアドバイスを信念とする。

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