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人事労務コラム

外国人雇用

公開日:2025.06.01

最終更新日:2025.06.01

外国人雇用状況届出書のすべて:記入例,提出方法,罰則を徹底解説

外国人雇用状況届出書のすべて:記入例,提出方法,罰則を徹底解説

外国人を雇用した企業は,「外国人雇用状況届出書」の提出が法令で義務付けられています。提出漏れや記載ミスは,企業にとって行政指導や罰則のリスクにもつながりかねません。
本コラムでは,外国人雇用状況届出書の目的や対象者,正しい書き方,提出方法,提出期限,罰則内容まで,社労士の視点で解説します。記入例や実務での注意点も交えながら,提出が初めての企業の担当者様でも安心して対応できるよう徹底解説します。

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1. 外国人雇用状況届出書とは? 基本を理解しよう

冒頭でお伝えした通り,外国人を雇用する企業には,「外国人雇用状況届出書」の提出が義務付けられています。ここでは,その目的や法律上の規定,届出が必要となる対象者について解説します。

1-1.外国人雇用状況届出書の目的

外国人雇用状況届出書は,日本国内における外国人労働者の雇用実態を把握し,適正な雇用環境を維持することを目的としています。

【外国人雇用状況届出書の主な目的】

  • 外国人労働者の雇用実態を把握するため
  • 外国人労働者が在留資格の範囲内で適切に就労しているか確認するため
  • 不適切な労働条件になっていないか確認するため

ちなみに厚生労働省では,この「外国人雇用状況届出書」の内容をもとに,外国人雇用の実態を年1回公表しています。
参考:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」

1-2.規定事項

外国人雇用状況届出書の提出義務は,「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(通称:労働施策総合推進法)に基づいて定められています。
この法律により,すべての事業主は,以下のタイミングでハローワークへの届出が義務付けられています。

  • 外国人労働者を新たに雇い入れたとき
  • 外国人労働者が離職したとき

業種や企業の規模にかかわらず,外国人を一人でも雇用しているすべての事業者が対象です。
入社時だけでなく,退職時も届出が必要になる点に注意が必要です。

1-3. 届出が必要な対象者

届出が必要な外国人労働者は,日本国籍を持たない方,そして在留資格が「外交」「公用」「特別永住者」以外の方とされています。
つまり,以下のような在留資格の方が該当します。

在留資格

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 特定技能
  • 留学(資格外活動によるアルバイトを含む)
  • 家族滞在(同上) など

※雇用形態を問わず,以下すべてが届出対象となります。

  • 正社員
  • 契約社員
  • パート・アルバイト
  • 短時間労働者(週20時間未満)であっても雇用契約を締結していれば対象です

「短時間勤務だから」「学生アルバイトだから」といった理由で届出を怠ることはできません。
企業としての適切な法令遵守が求められます。

2.届出書の書き方

外国人雇用状況届出書は,提出の義務があるだけでなく,内容も正確に記入することが求められます。記載ミスや情報不足があると,再提出や指導の対象となる可能性もあるため注意が必要です。
ここでは,届出書の入手方法と記入項目について,社労士の視点でポイントを押さえて解説します。

2-1.届出書の取得

外国人雇用状況届出書の様式は,以下のいずれかの方法で取得できます。

なお,届出書には2種類の様式があります。
これは,外国人労働者が雇用保険の加入対象者か否かによって異なります。

雇用保険の加入状況使用する様式
加入対象者(週20時間以上の労働等)雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)又は,雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)
非加入者(短時間勤務,資格外活動等)外国人雇用状況届出書(様式第3号)

どちらの様式を使用すべきか,雇用形態や勤務時間を確認した上で選びましょう。

2-2.記載事項と注意点

届出書には,外国人労働者本人の在留カードやパスポート等の公式書類をもとに,正確に記入する必要があります。
以下が主な記載項目とその注意点です。

  • 氏名
    通称名ではなく,本名を記載します(在留カードやパスポートと同じ表記にしましょう)。
  • 在留資格
    ‐在留カードまたはパスポートに記載された資格を,そのまま記入してください。
    ‐特定技能の場合:「分野名」を記入
    ‐特定活動の場合:「活動類型」を記入(指定書を確認してください)
  • 在留期間
    在留カード記載の「有効期限の満了日」を記入します。
  • 生年月日・性別・国籍
    在留カードに記載されている内容を正確に転記してください。
  • 資格外活動許可の有無
    該当する場合は,在留カード裏面,パスポート,または許可書等で確認して資格外活動許可の有無を記載します。
  • 在留カード番号
    在留カード右上にある12桁の番号(例:AB12345678CD)を記載します。

【記入時の実務的ポイント】

  • 書類のコピーをとるだけでなく,必ず原本を確認し,その場で記載内容をチェックしましょう。
  • 情報の誤記や未記入項目は,ハローワークでの受付不可の原因となるため,二重チェックが必要です。
  • 入社手続きの際に,届出書と併せて在留カード等の提示を必ず受けるフローを社内で整備しておくと安心です。

3.提出方法

外国人雇用状況届出書は,対象となる外国人の雇用保険加入の有無により提出方法が異なります。ここでは,オンライン提出(システム・e-Gov)および紙による提出方法について解説します。

3-1.外国人雇用状況届出システム(雇用保険未加入者用)

外国人労働者が雇用保険の被保険者とならない場合は,厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」からの届出が可能です。

届出の流れ

① アカウントの取得

以下の手順でアカウントを作成します。

  • 厚生労働省の専用ページにアクセス
  • メールアドレス等の情報を入力し,仮登録
  • 届いたメールに記載のURLを開いて本登録を完了
  • ユーザー情報を入力し,ID・パスワードを取得

引用:厚生労働省の外国人雇用状況届出システムホームページ

② 届出の手続き
  • ログイン後,「雇用情報」メニューから「外国人雇用情報新規登録」を選択
  • 必要事項を入力し,登録を完了すると届出が完了します
注意点
  • 過去に紙の届出書でハローワークに提出したことがある事業所は,システム上からIDを直接取得できません。
    →この場合,「電子届出切替・変更申請書」の提出が必要です。
  • ユーザーID・パスワードは紛失しないよう厳重に管理してください。万が一忘れた場合は,ハローワークへ確認しましょう。
  • 代理人による届出を行う場合は,「代理人選任届」の提出が必要です。

3-2.その他の提出方法(e-Gov・郵送・窓口提出)

届出方法には,他にも以下の方法があります

e-Govによる電子申請

  • 利用可能対象:雇用保険の被保険者となる外国人労働者のみ。
  • 雇用保険の「資格取得届」「喪失届」を提出することで,自動的に外国人雇用状況届出がなされたものとみなされます。
  • 雇用保険の手続きと一体で完了するため,効率的です。

※「被保険者でない場合」は,e-Govは使用できません。誤って手続きしないようご注意ください。

ハローワークへの窓口提出・郵送提出

  • 用紙での届出も引き続き可能です。
  • 管轄のハローワークへ直接持参,または郵送にて対応できます。

提出期限を過ぎると罰則の対象になるため,郵送の場合は配達日数も含めたスケジュール管理が重要です。

実務のポイント

  • オンライン提出(特にe-Gov)を活用すると,休日でも手続きが可能です。
  • 事業所の環境や体制に応じて,システムと紙の提出方法を併用・管理することも実務上有効です。
  • 複数名を一括で雇用する場合などは,データ入力ミスに注意し,チェック体制の整備を行いましょう。

4.提出期限と罰則

外国人雇用状況届出書は,雇用開始時・離職時に必ず期限内で提出する義務があります。ここでは,提出期限の具体的な日数と,期限を過ぎた場合の罰則について解説します。

4-1.提出期限の確認

提出期限は,雇用保険の適用有無によって異なります。

対象区分雇い入れ時の提出期限離職時の提出期限
雇用保険被保険者雇入れ月の翌月10日まで離職日の翌日から10日以内
雇用保険非適用の外国人労働者雇入れ月の翌月末日まで離職月の翌月末日まで

注意点

  • 「雇用日」や「離職日」は実際の就労開始・終了日からカウントします。
  • 提出日が土日祝日にあたる場合は,翌営業日が期限となります。
  • e-Govや外国人雇用状況届出システムを利用すれば,土日祝日も届出可能です。

4-2.提出を怠った場合の罰則

外国人雇用状況届出書を期限までに提出しなかった場合,以下のような罰則や行政指導の対象となることがあります。

想定される罰則・対応

  • 30万円以下の罰金(労働施策総合推進法第38条違反)
  • ハローワークによる是正指導や注意喚起
  • 外国人採用時の行政手続きにおいて不利な評価となる可能性

提出が間に合わない場合は?

  • 万が一,提出期限を過ぎてしまった場合や記載ミスに気付いた場合は,速やかに管轄のハローワークへ連絡し,対応方法について指示を受けてください。
  • 提出遅延や誤記を放置することが最もリスクを高めます。事情を説明し,誠実に対応することが重要です。

実務で気をつけたいポイント

  • 雇用契約の締結時に,在留カードの確認とあわせて届出準備を行う流れを社内で整備しましょう。
  • 離職日が月末・連休などにかかる場合は,早めに準備・提出することでトラブルを回避できます。
  • 書類管理担当者が変更となる際は,届出スケジュールも引き継ぐことが必須です。

5.よくある質問

こでは,実務上よくある疑問をまとめています。初めて届出を行う方や,迷いやすいポイントのご確認にぜひご活用ください。

Q. 留学生のアルバイトも「外国人雇用状況届出書」が必要ですか?

A:はい,必要です。

  • 留学生であっても,雇用契約を締結して働く場合は外国人雇用状況届出の対象になります。
  • あわせて,資格外活動許可の有無を在留カード等で確認する必要があります。

Q. 在留カードのコピーは提出が必要ですか?

A:いいえ,提出義務はありません。

  • ただし,事業主が在留カードの原本を目視で確認することは必須です。
  • 記載内容に誤りがあると届出が無効になる可能性もあるため,コピーは社内記録用として保管するとよいでしょう。

Q. 外国人を短期雇用したが,届出前に退職してしまった場合はどうする?

A:雇入れと離職をまとめて届出できます。

  • 様式上で雇入れ日と離職日の両方を記載すれば問題ありません。
  • 特に雇用保険非加入の短期アルバイト等でよくあるケースです。

Q. 外国人を1人だけ雇った場合でも届出は必要ですか?

A:はい,必要です。

  • 外国人雇用状況届出は,すべての事業主に義務付けられています。
  • 従業員数・企業規模・業種を問わず,外国人を1名でも雇用すれば届出対象です。

Q. 派遣社員として受け入れた外国人は,受入企業側で届出が必要ですか?

A:いいえ,届出義務は派遣元(雇用主)にあります。

  • 「外国人雇用状況届出書」の提出は,外国人労働者と雇用契約を締結している派遣元の事業主が行う必要があります(労働施策総合推進法に基づく義務)。
  • 派遣先企業(受け入れ側)が直接在留資格の確認を行うことは,派遣契約上の立場を逸脱する恐れがあるため,慎重な対応が求められます。

※必要に応じ,派遣元との間で在留資格確認の体制が整っているかを確認するなど,連携体制を構築することが望ましいです。


Q. 副業やダブルワークをしている外国人にも届出が必要ですか?

A:はい,届出が必要です。

  • 複数の事業所で雇用契約を結んでいる場合,それぞれの事業主に独立して届出義務が生じます。
  • 副業・兼業だからといって,届出が不要になることはありません。

Q. フリーランス契約(業務委託)の場合は届出が必要ですか?

A:いいえ,届出の対象外です。

  • 外国人雇用状況届出制度の対象は,あくまで雇用契約を締結している外国人労働者です。
  • 業務委託や請負契約など,労働契約でない場合は届出不要となります。

Q. 届出を忘れてしまいました。どうすればいいですか?

A:速やかにハローワークへ連絡しましょう。

  • 提出期限を過ぎてしまった場合でも,すぐに提出し,状況を説明すれば是正指導で済むケースが多いです。
  • 故意に放置すると30万円以下の罰金が科されることもあるため,自己判断で放置しないようにしましょう。

Q. 届出内容を間違えてしまった場合,訂正できますか?

A:はい,可能です。

  • 提出後に誤記に気づいた場合は,管轄ハローワークへ連絡し,訂正届や再提出の指示を受けてください。
  • 外国人雇用状況届出システムを利用している場合は,ログインして修正対応できることもあります。

6.まとめ

本コラムでは,外国人雇用状況届出書について解説しましたがいかがでしたでしょうか。

届出に必要な情報は,在留カードなどの公的書類をもとに正確に記入することが求められます。また,届け出の方法についても,外国人の雇用保険加入の有無により提出先や様式が異なるため,実務担当者は制度を正しく理解したうえで対応することが大切です。

とはいえ,制度を正しく理解し,日頃から社内で運用フローを整えておけば,決して難しい手続きではありません。
社会保険労務士事務所第一綜合事務所では,外国人雇用に強い社労士が在籍しており,在留資格や雇用契約のチェック,届出手続きの代行,社内体制の整備支援まで一貫したご対応が可能です。

外国人雇用に不安を感じている方,社内の対応が属人化しているためお悩みの企業様は,お気軽に社会保険労務士法人第一綜合事務所までご相談ください。

この記事の監修者

社会保険労務士法人第一綜合事務所
社会保険労務士 菅澤 賛

  • 全国社会保険労務士会連合会(登録番号13250145)
  • 東京都社会保険労務士会(登録番号1332119)

東京オフィス所属。これまで800社以上の中小企業に対し、業種・規模を問わず労務相談や助成金相談の実績がある。就業規則、賃金設計、固定残業制度の導入支援など幅広く支援し、企業の実務に即したアドバイスを信念とする。

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